―――株)レジナ代表 土田直樹
私が会社を設立した平成14年当時は、今より更に「電磁波」という言葉への一般的な理解は低かったものの、いわゆる「電磁波過敏症などのアレルギー疾患」を発症し苦しむ方が増えていました。
国内の電力需要は1960年から50年で10倍以上になっており、住環境には家電製品や設備機器が増え続けている状況から、何らかの対策が必要と考え、会社の基幹事業とすることに決めました。
私は理系の出身でもなく、物理の知識など皆無に近い状態ではありましたが、それまで携わってきた仕事で培ってきた人とのつながりや営業力、探求心を全て電磁波対策に注ぎ、電気工事士の資格を取り、毎日のように全国のお住まいに電磁波測定へ伺ったり、お客様やメーカー担当者、時には専門家のお話を伺ったりしながら、自分なりの答えに辿り着きました。
当時から「電磁波は危険」と言う時には送電線や電子レンジ、IHクッキングヒーターの電磁波、つまり「磁場」が危険視されていましたが、実際に電磁波過敏を発症された方々へのヒアリングやお住まいの電磁波測定、対策前後の体調の変化の経過等を見てきた結果、実際に電磁波過敏を発症する経緯の中で影響力があると考えられるのは、住居内、特に屋内配線から発生する「電場」ではないかと考えるに至りました。
この電場というのは、コンセントを使って電圧がかかった瞬間に発生する電磁波で、一般家電製品だけではなく配線から床壁に伝搬して、電位が低い人の身体に集まっていき、アース(接地)の必要性を理解していない日本の住環境に特化した現象でもあります。
そのため2007年には北里大学より共同臨床という形で電磁波過敏の患者様をご紹介いただき、弊社の電場対策実施前後の体調の変化を観察し、一定の成果が見られたことから、日本臨床環境医学会でも発表させていただいております。
床や壁に交流の電場が帯電することで静電気を誘発して、ハウスダストや菌の問題につながるというデータも公開されていますから、この配線への対策は必要不可欠な状況にありました。
そのために、まず建築的な大掛かりな対策ではなく、特に寝室での影響を軽減するために、プラグインアースと併用して使用できる特徴を持った導電性を持たせたアースインナーニットという製品をつくり、臨床と販売を行ってきました。ところが、電磁波に過敏に身体が反応するというアレルギーは、化学物質にも過剰に反応しているという側面もあり、機能性だけではなく、敏感な肌に優しい繊維である必要性がでてきました。
そのために今治タオルという高い品質を持った生地との組み合わせで、肌触りのよい安心安全なベッドシーツやブランケットを開発していきたいと考え開発をスタートしました。
この導電性の繊維は、今までは不織布で製品をつくってきましたが、今回はタオルの生地と一体化させるために「糸」から作らなければならなくて、試行錯誤を繰り返して、かなりの時間を費やしました。
それと、今治タオルのメーカーは100社ほどあり、どこのメーカーさんとお付き合いすればいいかなど、地元の電磁波測定士の協力も要請して、候補に挙がったメーカーさんの工場を確認してからということもあって、本当に一からのスタートでした。
そもそも今治タオルというブランドは、今治タオルの基準をクリアし、そこで織られた繊維のみを使ったタオルでなければ、ロゴの表示ができないため、今回のように特殊な導電性の糸が入ると今治タオルというロゴマークは使えませんが、製造は品質が高い今治で行うことを決めました。
64番単糸という導電性の糸を、今治に送って、今治で双糸に撚糸してから、タオル生地の生産に入りますが、それも、縦糸と横糸に引っ張り力が異なることで、何度も強度試験を行ってきました。
特許としても重要な部分ですが、縦糸と横糸が静電気を除電することとアースを取ることで電場を抑制する機能だけではなく、デザイン的にも美しい仕上がりを考えて、ようやく製品が出来上がりました。
今治タオルとの共同開発として最初の製品ですので、皆さんの大きな期待と新しいマーケットへの提案ということで、各業界からも多くの関心を寄せられています。
例えば、某大学の2020年のオリンピック強化選手に対して、睡眠の質という観点から、寝室における電磁波の影響を軽減して、このアースコットンを使ってタイムの変化がみられるかという実験を行っています。トップアスリートたちは、少しでも身体をベストな状態に持っていきたいでしょうから、小さな電気の影響を受けないようにしていくことで、効果を体感してもらえると嬉しいです。
この製品を通じて、多くの方々の健康に寄与できることを期待しております。
是非とも、ご活用いただければ幸いです。
株式会社レジナ
代表取締役 土田直樹